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四畳半タイムマシンブルースを見て

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四畳半神話大系夜は短し歩けよ乙女と続けて視聴し、自分は森見登美彦ワールドにどっぷり浸かってしまった。

なので、最近公開された四畳半タイムマシンブルースを見に行った。リアルタイムでこの作品を見れることがうれしい。

 

感想を端的に言うと、とてもよかった。

四畳半神話大系では主に「私」と小津に焦点が当たっていたが、こちらの映画では全員にしっかりと役所があり、あまり見られなかった登場人物の掛け合いを見ることができたのでよかった。

以下ネタバレ感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずこの映画の内容が濃く、それでいて詰め込みすぎていないところが素晴らしかった。

四畳半神話大系でも感じた、あのゆっくり流れていく無意義な空気感がしっかりとあった。

 

タイムスリップものではよく扱われる、過去との辻褄合わせ、伏線回収もしっかり描かれていてよかった。

この場面に実は過去から来た人物がいただとか、この意味不明な描写にも意味があったとかそういうものが多くあり、もう一度見直したくなる映画だった。

 

また、タイムスリップで起きた不可解なこと、それの理解、辻褄がどうしたら合うかを順を追って考える「私」と明石さんがいるおかげで、これらの出来事、主人公たちは過去を戻すため今何をしようとしているのかがよくわかった。

おそらくこういう時間旅行ものの解釈が苦手な人でもある程度追いついてこれると思う。

 

 

「私」と明石さんの関係の顛末も印象に残った。

明石さんを五山の送り火に誘えなかった「私」が過去に行き、もう一度誘えるようなチャンスが来た時、「やり直したいがそれはできない」と言ったのが特に印象的だった。

 

これは、「私」がもしもあの時違う行動をしていたら、といったifの可能性を夢見ることなく、自分が選んでしまった現実を後悔しながらでも受け止められるようになったと解釈するのか、

それとも明石さんを誘うことを怖がり、過去を元に戻すとか世界を救うといった言葉を盾に、また目の前の好機を逃したと捉えるのか、色々な解釈の仕方があると感じた。

どっちにしても「私」の人間性が出ていてとても興味深いシーンだと感じる。

 

 

最終的には現在との辻褄を合わせるため、過去の私を五山の送り火に誘ってくださいと明石さんに頼まれるのだが、この展開は粋だなぁと思った。

 

明石さん視点では、二人だけの秘密の約束なので、過去との整合性のためには絶対に自分から「私」にこのことを言わないといけない。

「私」も矛盾を起こさないために言われた通り誘うのだが、この誘いはどっちから誘ったのかが分からなくなっている。いわゆる卵とにわとりのジレンマみたいなものである。

肝心な部分をにごして表現するのは、とても「私」の恋路らしくてよかった。

 

 

総じて言うと、もう1回見たい映画だった。

多分ディズニープラスで繰り返し見ると思う。